健康優良不良青年

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毒力士 第一話 その1

 

毒力士は恐ろしい。
近接攻撃の殆どが体表の毒粘液で滑らされ、強毒を持つ毒力士の場合だと刀などが腐食し使い物にならなくなる。
そんな強靭な肉体を持っているため、どんな攻撃も恐れずに攻撃してくる…
その恵まれた体から繰り出される「テッポウ」は本物の「鉄砲」以上の破壊力を誇ると言われている。

 

だがしかし、毒力士にも弱点はある。
その体表の毒粘液のせいで異性はおろか、周囲の人間と打ち解けることができないのだ。
飲み会に行っても体積が邪魔になるし毒粘液のせいで店側に迷惑がかかる。
彼は毒力士であり、「独」でもあるのだ…

 

毒力士をやめれば独りじゃなくなるかもしれない…。

もしかしたら、素敵な彼女や、食品会社のCMタイアップなんかも出来るかもしれない!
だが、毒力士であるアイデンティティと誇りはどうした!?
毒島(ぶすじま)部屋の名誉と存続も自分の双肩にかかっているのだぞ…!

毒力士は今宵も独り月を眺めながらポツリポツリと涙を流す。
きっと鼻の奥がツンとするのは涙のせいだけではなく、部屋の隅に置かれた毒物モロテアゲテンの刺激臭のせいでもあるだろう。

 

そんな風に迷っている頃、毒力士の次の対戦相手が決まった。近頃名を挙げて来ている「Lil Dragon a.k.a 小竜関」が相手だ。
Lil Dragonはヒップホップと相撲を融合させることに成功した若手一番株であり、先日の春場所ではあの大関ドランクドラゴン」酔乃淵(よいのふち)をも倒したという。

 

Lil dragonのテッポウは「ゼッポウ」と呼ばれており、自らの体と共にDISを飛ばしてくる、心と体を同時にへし折りにくる恐ろしい戦法である。
酔乃淵戦では
♫酔えなきゃ弱ぇ、酒漬けの負け犬
 震えてんのは会場じゃなく病状
 書いてやんぜ、医者への紹介状♫
パンチラインで酔乃淵に土に膝を着かせた。

そこまで白星続きだった酔乃淵が期待されていたとはいえ、新人に負けた。

この事実は角界に激震を走らせた。

酔乃淵は酒を飲めば飲むほど強くなるという酔拳相撲を売りにしていたがこの一戦以降、禁酒外来に通い、以降の春場所の舞台に上がることはなかった。

我らが毒力士こと毒乃元(どくのもと)は苦悩していた。
酔乃淵は、新人時代、部屋は違えどよく可愛がってもらった(この場合はいびりではない)先輩力士であった。
そんな恩義のある先輩を事実上の引退に追い込んだLil dragonを打ち負かせる機会だと思った。
だがしかし、彼の脳裏には違う選択肢があった。

 

「ここで負けてしまえば、
この殺し合いのような相撲の世界から身を引ける…
毒を体につける日々も終わる…
俺は”降りれる”んだ…」

そう、彼は毒力士であることを捨て、一人間として生まれ変わることを考えていたのだ…

 

そんな風に独言ていると、
彼の耐毒性Android携帯「GALAXY P9」が鳴った(まれに爆発するが毒には強い)
酔乃淵からだった。

 

 

以上です。

続きはまた気まぐれに書きます。

即興小説みたいな感じなので続きは分かんないどす。

 

一応設定もどき

 

毒乃元(毒力士)

24歳

毒力士の名門、毒島部屋、唯一の関取(小結)であり、

神経系に作用する、強酸性の毒、モロテアゲテンの適合者

その毒を体表に塗りたくり、相手に射出したり

相手に張り付くことで毒を摂取させる相撲スタイル。

相撲の取り方としてはスタンダードなものだが、毒というトリッキーな戦法でコアなファンが付いている。

だがしかし、毒という点でスポンサーが付きにくく、本人が口下手なところもあるため人間関係は希薄。

今日もスーパーで買った焼酎を傾けながら月と晩酌する日々である。

 

 

 

 

他の力士の設定は生えてきたらあげます。

 

今回はここまでです。